Rakugolover’s blog

落語について色々語ります

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

掛け捨ての落語を擬人化した新作・創作落語家の苦労が滲み出る怪作

80.ネタの部屋(春風亭昇太) 古典と違い、新作・創作落語は掛け捨て、つまり客前でやってみて受けなかったらもう演じることなくお蔵入りにすることが多い。時事ネタを盛り込んだ噺などは旬が過ぎると表に出せなくなるのもやむなしと思うが、もしそういった噺…

鉄道オタクの家庭生活に爆笑

79.鉄の男(柳家小ゑん) 鉄道オタクは鉄ちゃん等と呼ばれるようになり割と市民権を得てきたが、家庭内ではまた話が違う。理解ある家族でないとどうなる?というのを落語にしたのがこの噺。主人公は鉄道大好きなお父さん。息子にお土産で鉄道模型を買ってきて…

狂言✖️落語の野心的な実験落語

78.狂言長屋(立川志の輔) 古典、新作・創作落語と他業種のコラボは近ごろよく見られる。例をあげるとオーケストラ、ミュージカルなど。しかしこの噺は狂言とのコラボというかなりの冒険的な作品だ。 ストーリーは、身投げしようとした狂言師の男を助けた長屋…

医者が余りまくった世界を描いた逆転落語

77.ダンシングドクター(桂三枝/現・桂文枝) コロナ蔓延中の世界ではちょっと想像しにくいが、もし医者の数が増えすぎていたら?という発想からできたこの落語には笑いながらも色々と考えさせられる。 ストーリーは、医者が増えすぎて通常の病院勤務や開業医と…

歴史物なのに遊び心満載で演じられる楽しい落語

76.滝口入道(春風亭柳昇) 落語には源平盛衰記など、数は少ないが歴史を題材にとったものがある。こういう歴史物の利点はいろいろあるが、何と言っても登場するキャラクターを客側が知っているため説明が不要なのがいい。ただ裏を返せば歴史的背景についても…

拡散手段が多すぎる現代らしい爆笑落語

75.みんな知っている。(林家彦いち) 江戸時代は一斉周知のやり方は高札か瓦版ぐらいしかなかったので、古典落語の中で個人情報拡散手段として出てくるのは口コミくらい。だが今はどんな人でも何の情報でも広められる恐ろしい時代。これはそんな時代に相応し…

犯罪者に優しいご近所に悩む露出狂の葛藤が笑える

74.露出さん(春風亭百栄) 古典落語にはよく犯罪者が出てくるが大抵は泥棒だ。有名どころだと、夏泥、転宅などだが同じ犯罪でも物を盗まない、人の体を傷つけない露出狂を主人公にしたのがこの噺の上手いところだと思う。 長年毎夕6時半に物陰から出てきてコ…

高齢化アイドルの面白トラブル落語

73.アイドルは早起き(桂三枝/現・桂文枝) 長寿化は以前なら考えたこともないトラブルをもたらすが、それを笑いにしたのがこの落語だ。ストーリーは高齢者向けの平均年齢80歳超えアイドルグループを企画した芸能事務所だが、考えもしなかったトラブルの数々に…

スポーツ恋愛物のイメージをぶち壊す落語

72.青畳の女(林家彦いち) オリンピックも多分開催されそうなので、関連した落語を探してみた。ストーリーはオリンピック選考の柔道大会に出場する女の子、勝つ気満々だったのに好きな男の子が応援に来ると知って浮足立ってしまう。女の子らしく見られたいと…

病院に幇間というミスマッチが笑わせる落語

71.カラダの幇間(柳家喬太郎) 今日本にプロの幇間は2、3人しかいないと聞いたことがある。なのに古典落語では割と出番があるのが幇間だ。幇間が今の日本で活躍できる場があるとしたら?と考えてみたとき、この噺にあるように病院で患者を励ますというのはか…

ペットが口きけたら言いそうなクレームの連続が笑わせる

70.愛犬チャッピー(春風亭昇太) もはや犬やネコに服を着せてるくらいでは驚かなくなったが、冬にダウンジャケット姿の犬が散歩してるのを見た時はさすがに驚いた。そんな犬の気持ちになって作った様な落語が本作だ。 噺自体は短いが、柴犬なのに室内飼いで、…

ワインも擬人化?熟成が楽しみな創作落語

69.過去のないワイン(桂三四郎) 豆腐もおでんも擬人化されて落語になってるので、ドリンクもひょっとして落語になっているのでは?と探したらありました。 ストーリーは、とあるワインセラーで目覚めたビン、ラベルもバーコードも剥がされて自分の名が分から…

ハズレると痛い温泉宿での悲喜劇落語

68.温泉旅館望洋楼(桂三枝/現・桂文枝) 温泉好きな人なら分かると思うが、温泉自体は何の問題なくても泊まるところが大ハズレということが結構ある。この噺を聴いてるとそういう思い出がよみがえってきて情けない気分になる。 ストーリーは温泉通をきどる男…