Rakugolover’s blog

落語について色々語ります

歴史物なのに遊び心満載で演じられる楽しい落語

76.滝口入道(春風亭柳昇)


落語には源平盛衰記など、数は少ないが歴史を題材にとったものがある。こういう歴史物の利点はいろいろあるが、何と言っても登場するキャラクターを客側が知っているため説明が不要なのがいい。ただ裏を返せば歴史的背景についても客は知識があるということなので、落語家が怪しい語りをしてしまうと見限られてしまうのが難しいところ。

この噺は平家物語&高山樗牛の小説に案を得て作られた噺と思うが、歴史の重みに引きずられることなく、軽やかに演じているのは流石だ。ストーリーは平家全盛時代、平清盛に桜の宴に招かれた若武者、斎藤滝口時頼が横笛という美しい娘に恋をしてしまい、毎日恋文を送るが返事をもらえず、思い余って出家してしまう…というもの。こういう噺は古語や長い人名が多くて現代では落語家から敬遠されてるのかもしれないが、客としては是非聴きたいジャンルでもある。この噺も誰か引き継いでくれる落語家が出てくれると嬉しいのだが。

オススメ度 ★★★★


CDあります

春風亭柳昇 落語名演集(3) https://www.amazon.co.jp/dp/B00BWUSHZ2/ref=cm_sw_r_cp_api_glt_i_Z0DB5Q3SC0VGY55DNG