年老いた親のパワフルな道楽に振り回される子供達の悲哀
人生100年時代になって、余生は短いどころか下手をすると働いた年数より長く過ごすことになってしまった現代。それを反映してか、新作、創作落語にも老後や余生をテーマにしたものが割と見られるようになった。この落語もその一つだ。
ストーリーは、老いた父親が様々な趣味に手を出し、その度に巻き込まれる子供たちが集まって対策を講じている。この親父が写真、尺八、陶芸と年寄りが手を出しそうな趣味に残らずハマる上、門付けをしたり、作った急須を送りつけたりともれなく家族に迷惑をかけるタイプの人。そんな親父が次にハマったのが歌手デビューで、有名演歌をパクった歌でCDを出そうとしているのを知った子供たちは、流石に洒落にならない、と何とか止めようとするが…というもの。
現実では、宗教にハマったり怪しい投資やロマンス詐欺に引っかかってすっからかんになったりと高齢者の余生の過ごし方はあまり笑えない結果を招く場合が割と多いが、この親父の趣味は自分の金を使ってパワフルにやりたいことをやっている感じで聞いてて楽しい(もちろん振り回される子供たちは大迷惑だろうが)。ラストも子供たちが口を揃えてケチな親父だという性格に見合ったサゲで、ああこういう老人いるよなぁとカラッと笑える落語だ。
オススメ度 ★★★★
CDあります