Rakugolover’s blog

落語について色々語ります

掛け捨ての落語を擬人化した新作・創作落語家の苦労が滲み出る怪作

80.ネタの部屋(春風亭昇太)


古典と違い、新作・創作落語は掛け捨て、つまり客前でやってみて受けなかったらもう演じることなくお蔵入りにすることが多い。時事ネタを盛り込んだ噺などは旬が過ぎると表に出せなくなるのもやむなしと思うが、もしそういった噺たちに人格があったら?という発想から考え出された落語。

ストーリーは、ある日道に迷った落語家がたどり着いた家には自分が今まで作ったものの仕舞い込んでいた噺たちが暮らしてた、というだけだが、例えば「Jリーグの哀しみ」とかはタイトルだけで何故演じなくなったか分かるような気がするのが面白い。噺たちがまたいつか掛けてくれないか、とけなげに待ちつつ、人気のある噺「愛犬チャッピー」に嫉妬する様には笑わずにはいられない。古典派には分からない新作・創作落語派のつらさが沁みる怪作だ。

オススメ度 ★★★★


CDあります

春風亭昇太2 26周年記念落語会-オレまつり https://www.amazon.co.jp/dp/B001TMEEMS/ref=cm_sw_r_cp_api_glt_i_AW8JNAZQ9FVCH9224K5X