Rakugolover’s blog

落語について色々語ります

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

死体の扱いが超軽いシュールな落語

67.さいとう(林家彦いち) プロでも何でこんなこと書いちゃったんだろうと思うような作品をつくってしまうことがあるらしく、この噺もその一つ。死体を巡って右往左往するのは映画「ハリーの災難」に似ているが、死の理由も死体の来歴も分からないのでかなり…

メチャクチャな恋愛アドバイスが功を奏す爆笑落語

66.恋するヘビ女(三遊亭白鳥) 大抵の恋愛アドバイスは自らの経験に基づいてるがゆえにある程度偏りがあるものだ。この噺では、おばさんが好きな女の子に告白しようか悩む小学生(!)の甥にアドバイスするのだが、寂しがってる相手につけこめとか自分の夢を語れ…

みんなと違うと落ち着かない日本人気質を描いた落語

65.夫婦に乾杯(春風亭昇太) よそはよそ、うちはうち!と思っても、自分の家庭が他と違うと言われると気になってしまうもの。特に日本人にはその傾向が強いと言われてる。その不安な気持ちをベースにしたコミカルな噺だ。 会社の商品ネーミング会議で頭を捻る…

バスを待つイライラと夫婦の愚痴をうまーく落語にした秀作

64.バス・ストップ(立川志の輔) 東京だと都営バスがあと何分で来るのかは停留所に電光表示されてたりスマホでチェックしたりできるが、市や町の巡回バスだと時刻表なしで数十分間隔で運転されていることがある。待っている時の、あと何分でバスが来るのか分…

同棲カップルの別れ話で暴かれる秘密が面白い落語

63.すみれ荘二〇一号(柳家喬太郎) 人は何でこんなこと隠すの?ということでも往々にして家族や恋人の目を欺くように振る舞ってしまうことがある。この噺に出てくる同棲カップルもお互い隠していることがあるのだが、その暴き方が細かいところに気がつく人が…

昔話✖️新作落語の可能性を追求した野心作

62.臼親父(林家彦いち) 個人的に増えてほしいと思っているのが昔話をベースにした落語なのだが、実はそんなにないのが残念。小咄には結構残っているのだが…。有名どころだと桃太郎ぐらい?鶴の恩返しも浦島太郎も小咄に使われてるのは聴いたことがあるが、ス…

バツイチ時代の結婚式風景を落語にしたら

61.またも華々しき華燭の典(桂三枝/現・桂文枝) バツイチ、バツニと言う言葉が浸透して久しいが、そういう時代の結婚式はどうなる?という疑問を落語に上手く落とし込んでいる。いつも思うが、会話で情景を描く落語という手法に向いているイベントとそうでな…

新作➕ハメモノ➕伝記の挑戦的落語

60.越路吹雪物語(春風亭小朝) 大歌手の人生を落語にするだけでも相当な才が要るが、その曲も取り入れるとなるとかなりの構成力を必要とすると思う。この落語は昭和55年に亡くなったシャンソン歌手・越路吹雪の人生を落語化したものだが、彼女を尊敬して丁寧…

政治家ネタを盛り込んだ三題噺落語

59.幽霊角栄(三遊亭白鳥) 政治家はエピソードの宝庫なのでマクラの時事ネタにはよく使われてる反面、落選や不祥事等で入れ替わりが激しいので本題にするのには向かない。がこの噺は幽霊にして本人出演させるという思い切った演出にしたおかげで面白エピソー…

仕掛けて反撃パターンをうまく使った落語

58.日照権(春風亭柳昇) 多分高度成長期、マンション等がたくさん作られた時代の作だと思うが、古典落語の禁酒番屋に出てくるような攻撃仕掛けて反撃されるパターンを使って日照権問題を巧みに落語にしている。 ストーリーは高層マンションが建てられるのを知…

古典の寝床の面白野球版

57.野球寝床(桂米助) 古典落語の寝床は、義太夫に凝った旦那が長屋の住人を無理やり呼びつけて聞かせる、という噺で誰が演じても面白い秀作なのだが、唯一欠点があるとしたら現代人には義太夫がどんなものかもう分からなくなっていること。噺家側も当然この…

昭和なお父さんの夢を詰め込んだファンタジー落語

56.オヤジの王国(春風亭昇太) 家庭でないがしろにされるお父さんの悲哀って物語にしやすいのか、よく新作・創作落語で取り上げられているが、更にこの噺ではファンタジックに一捻りしてるのが特徴。 疲れて帰ってきても夕飯に余り物しか用意してもらえない上…

新作・創作落語家の葛藤を赤裸々に語る噺

55.天使と悪魔(春風亭百栄) この噺は次の2点押さえておくとより楽しめます。 1.新作・創作落語家は古典落語と新作・創作落語どちらもできて、状況に応じて演じ分けれる(はず) 2.寄席には番組表や手帳に演目等メモしながら聴いてる主にオジ(い)さんが一定数い…

ちっとも怪談ぽくないが実は新作怪談落語

54.消えずの行灯(三遊亭天どん) 本所七不思議に題をとった落語。ストーリーは、夜更けに無人の蕎麦屋の屋台を見たカップルが七不思議の一つ消えずの行灯と思い込み震え上がるが、毒を喰らわば皿までというので蕎麦を作ったり好き勝手し始める。と、屋台の主…