Rakugolover’s blog

落語について色々語ります

昔話✖️新作落語の可能性を追求した野心作

62.臼親父(林家彦いち)


個人的に増えてほしいと思っているのが昔話をベースにした落語なのだが、実はそんなにないのが残念。小咄には結構残っているのだが…。有名どころだと桃太郎ぐらい?鶴の恩返しも浦島太郎も小咄に使われてるのは聴いたことがあるが、ストーリーまるまる使った落語は寡聞にして知らない(もしあったらすみません)。

この噺はそういう意味ではチャレンジングで、猿蟹合戦をベースとしている。ストーリーは、リストラされそうな気の弱い男が猿蟹合戦の世界に紛れ込み、臼の役割を振られてしまうが…というもの。栗、蜂、糞という他のメンバーが頑張るから大丈夫だろうという他力本願な思惑が外れ、自分一人で猿をなんとかしなければならなくなった男の狼狽ぶりに笑わずにはいられない。

オチも臼とかけていて、昔話の味を活かしつつ現代に即した秀作となっている。

オススメ度 ★★★★★


CDあります

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