Rakugolover’s blog

落語について色々語ります

発想点が違うと着地点も異なる良い見本の落語

85.全身日曜日(林家彦いち)


同じタイトルで全然別の話というのは小説の世界ではよく見るが、落語でというのは珍しい。No.84.で紹介した全身日曜日という噺はもともとこちらが先にできたのだが、落語家の着眼点は同じ"身体”でも発想が全然違うせいで全くかけ離れた面白さを持つ落語となっている。

ストーリーは、息子の野球の応援に行ってくれと懇願する奥さんに旦那さんは身体のあちこちが働いてるから日曜日は休ませなきゃ!と屁理屈を捏ねて抵抗する。呆れた奥さんは野球場に出発するが、途中で歩道橋から飛び降りようとする学生を見つけてしまい…というもの。旦那が苦し紛れに人差し指くんいつも左右を指してくれてありがとうとか、膝くん面白くもないのにいつも笑ってくれてありがとうと感謝してると言うのにムカっとしてる奥さんが、いざ飛び降りを止める際には旦那のセリフをパクって使い出すのが似た者夫婦という感じでおかしい。同タイトルの2落語を聴き比べしてみるのも楽しいかもしれない。

オススメ度 ★★★★


CDあります

彦いちばなし 〜林家彦いち落語集・創作編〜<br>全身日曜日/さいとう/彦いち短か噺 | ディスコグラフィ | 林家彦いち | 日本コロムビアオフィシャルサイト https://columbia.jp/artist-info/hikoichi/discography/COCJ-36581.html