Rakugolover’s blog

落語について色々語ります

古典落語の続きを落語にした傑作

20.本当に怖い愛宕山(春風亭昇太)


古典落語の続きを考えるという企画から発案された噺だが、まず『愛宕山』を選んだところがセンスがある。

愛宕山』のラストでせっかく拾い集めた小判を崖下に置いてきた幇間の一八が再度拾いに降りるが、崖上の若旦那は綱をおろさない。実は若旦那は毎年商売の神様に幇間を生贄にするため愛宕山に来て小判投げをしていたのであった。周囲に幇間の骨を見つけて震えあがる一八だが、プロ根性を見せて集まってきたオオカミや神様にもヨイショをかまし生き残るのに成功。神様からの加護もゲットしやがて金持ちになった一八のもとに落ちぶれた若旦那が幇間になって現れ…というのがストーリー。

古典落語は言ってみればオチで完了してるので、続きがありそうだと思わせる噺はそもそも少ない。が、『愛宕山』は①旅行中という非日常②登場人物が幇間というレアキャラ、さらに③本編で撒いた小判の回収をしていないので再度拾いに行ってもおかしくないシチュエーション、の三つがそろっているため噺の裏付けがあり違和感なく楽しめる作品になっている。聴く前に古典の『愛宕山』を観ておくと更に楽しめると思う。

オススメ度 ★★★★


DVD あります

SWAのDVD  古典アフター- https://www.amazon.co.jp/dp/B004HGYJ1E/ref=cm_sw_r_cp_api_i_4DY8N5CS43789ANMVK48