Rakugolover’s blog

落語について色々語ります

震災の落語、求む!

神戸の震災の際も東北の震災の際も、多数の落語家が現地に赴き被災者の為に落語会を行った。落語は聞くと良く眠れるので、火災や余震等、不安におののく方々には役に立ったと思う。

が、落語の力はそれだけではない。

与太郎戦記』という春風亭柳昇の本にも映画にもなった落語があるが、この噺が笑いと共に伝えてくるのは戦争当時の現場の雰囲気だ。聞いてると可笑しくてちょっぴり哀しくて、聞き終わると“やっぱり戦争なんてするものじゃないなぁ”と自然と思わされる。

ニュースではどうしても悲劇的な面だけを切り取って報道する。そして悲劇から立ち上がる我々!という事ばかり繰り返しアピールされる。これはもう仕方がない。だが、悲劇の最中だからといって喜劇が起こらない訳はないし、実際ネットの中には震災の中のクスッと笑える話、怪談や不思議な話、離婚結婚にまつわる可笑しな話がゴロゴロしている。そしてこういうエピソードの連続こそが、落語になり得ると私は思う。

神戸の震災を、あるいは東日本大震災を落語に昇華させる落語家はいないものだろうか。そういう落語がひとつでもあれば、今問題になってるような⦅震災記憶の風化⦆も防げるのにと思う。