Rakugolover’s blog

落語について色々語ります

古典の寝床の面白野球版

57.野球寝床(桂米助)


古典落語の寝床は、義太夫に凝った旦那が長屋の住人を無理やり呼びつけて聞かせる、という噺で誰が演じても面白い秀作なのだが、唯一欠点があるとしたら現代人には義太夫がどんなものかもう分からなくなっていること。噺家側も当然この問題点には気付いていて、義太夫の解説を入れたりしてやり過ごしている。

が、この欠点に真正面から向かい合ったのがこの落語で、寝床の新作バージョンとして非常に面白い出来になっている。

ストーリーは千葉ロッテマリーンズのオーナーが幹部社員を集めて野球観戦をしようと企画するが、実は部下はそれほど野球が好きでなくオーナーと観るのも嫌というので、ロッテリアハンバーガーを急に大量生産しなければならなくなったので行けないとか色々な理屈を付けて逃げ回るというもの。来ないならボーナスなしだ!と怒るオーナーのため渋々集まる面々にサラリーマンの悲哀が溢れていて笑わずにはいられない。古典落語はよく出来ている分改作やパロディ化が非常に難しいのだが、こういう取り組みは古典派、新作派に関わらずどんどんやってほしいと思う。

オススメ度 ★★★★


DVDあります

桂米助ヨネスケ)の野球落語+[DVD]

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