Rakugolover’s blog

落語について色々語ります

自分の常識は世間の非常識!とショックを受ける主人公に共感

45.長島の満月(林家彦いち)


故郷から離れて暮らすうち、自分の中では普通だったけれど、ひょっとしてこれ常識でないのでは…と疑いを抱くのはよくあることだ。この噺は本人の体験を交えた自伝的な落語だが、こういう疑いや戸惑いが散りばめられているので客も共感できる構成となっている。

友達に合コンに誘われた安田くんだが、口下手なのもあり上手く女の子たちと話せない。見かねた友人が同世代に共通する給食や流行りのブランドなどの話題を振ってくれるものの、皆と自分の体験が全く異なることに気づいてさらに押し黙ってしまい…というのがストーリー。普通だと思っていたことが違うと判って狼狽える安田くんに笑わずにはいられない。

オススメ度 ★★★★★


CDあります

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血液型性格診断大好きな日本人のツボをつく落語

44.B型人間(三遊亭歌之介/現・三遊亭圓歌)

 

飲み会などで初対面の人に血液型尋ねるのは日本人だけと聞いたことがある。お陰であまり血液型に興味がない人でも、例えばO型はおおざっぱな性格の人が多い等とミニ知識が刷り込まれている。

この噺はそういうA/B/O/ABで性格判断するのが大好きな日本人好みに作られていて、各血液型の代表として有名人を取り上げて説明しているので聴いて不思議な説得力がある。特にB型代表として挙げた長嶋茂雄の様々な逸話には爆笑ものだ。

どちらかと言えば漫談よりの噺で、圓歌襲名後に演じているかは分からないが、ぜひ持ちネタとして掛け続けてもらいたいものだ。

オススメ度 ★★★★


CDあります

B型人間 https://www.amazon.co.jp/dp/B00008LL87/ref=cm_sw_r_cp_api_glt_i_9648Q9DBQTTWW3NMQJWZ

嫁姑問題をスマートに解決する知恵と愛がこめられた落語

43.里帰り(春風亭柳昇)


嫁いだ娘が姑の悪口を里帰りの際言ってきたら、今はどうするのが普通なのだろうか?やはり離婚一択?それとも我慢しろと説得?

娘が久しぶりに里帰りしてきたと思ったら姑への鬱憤を言いだして止まらない。聞いていた父親は仰天の解決策を示し、娘も策通りやってみることにするが…というのがストーリー。解決策自体は故事に倣ったものだが、びっくりする娘をそそのかす父親の口ぶりが笑える。現代的ではないかもしれないが、聴いていてほっこりする噺なので、是非寄席でも誰か演じてもらいたいものだ。

オススメ度 ★★★★★


CDあります

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ガン告知も落語になるよい時代

42.財前五郎(五明樓玉の輔)


病院とか医師看護師はよく新作・創作落語に出てくるが、やはり題材として扱いやすいのだろうか。そういえば古典落語にも医者の話は多い。病気には皆関心が高いので注目を集めやすいのだろう。さすがに出てくる病気は現代的になっていて、この噺ではガン告知がキーワードになっている。

ストーリーは、気が弱いドクターが患者にガン告知をしなければならないのに決心がつかず、見かねたナースが、患者に告知する前にガンに似たような言葉を並べて反応調べてみたらとアドバイスするが…というもの。何とか済ませて一息ついたドクターが、おずおずとナースにプロポーズの返事について尋ねるラストが上手い。前段の仕掛けが活きていて、短めだが上手くまとまった落語になっている。

オススメ度 ★★★★

ゆるキャラ&中の人を巡るドタバタ落語

41.モモリン(立川志の輔)


新作・創作落語を聴いていると、ときどき何でこんな面白い筋書き考えついたのだろう?と唸らせるスゴイ噺に出会うことがあるが、これもその一つだ。

県大会予選に出る市のゆるキャラ、モモリン(中の人は学生)を激励に来た市長が出来心で着ぐるみの頭部をかぶってしまう。脱ごうとした際にファスナーが噛んでしまい、外れなくて焦る市長。とうとう待たせていた客の相手とステージ登壇をモモリンの姿でやる羽目になり…というのがストーリー。

どんどん場面が変わり、それに従い登場人物も増えてくるが、構成がしっかりしているのとキャラの描き分けがバッチリできている為、今誰の視点で話してるの?と混乱することなく噺に没頭して笑えるのが素晴らしい。特に待たされて怒っていた客が、実は市長こそがモモリンの中の人で年中市民のために色々な行事に参加していたのだと誤解し、コロっと態度を軟化させるところは爆笑もの。大人から子どもまで楽しめる極上のコメディだ。

オススメ度 ★★★★★


絵本あります

モモリン (古典と新作らくご絵本) https://www.amazon.co.jp/dp/4251095081/ref=cm_sw_r_cp_api_glt_i_34AFMPXM7S7K6W4GD0A6

野球礼賛しないヘンな野球落語

40.ホームランの約束(春風亭百栄)


野球選手がよくやるファンサービスを題材にしたちょっとブラックな新作落語。ストーリーはチームの方針で病院慰問に来た人気野球選手が、子どもに愚痴を言いながらサインボールを渡そうとして断られる。実は野球ファンは同室のおじいさんで、代理で依頼しただけと分かり落ち込む選手。紆余曲折の上、今度の試合でホームランを打つ約束をするが…というもの。

最初はかなり傲慢な野球選手が、相手がファンではないと分かると下手に出はじめるのが面白い。ファンと選手の力関係を描いた初めての野球落語かもしれない。

オススメ度 ★★★★

英才教育された小学生力士の人生落語

39.力士の春(春風亭昇太)


プロのスポーツ選手や芸能界で活躍している人たちの中に、小さな頃から英才教育を受けてきた人が山ほどいると思うが、もし力士でいたとしたら?というのがこの噺のキーポイントだ。

相撲取りにするために毎日ちゃんこにしたり日本酒飲ませたりする横暴な両親に、当初は泣きながら反発していた主人公タカノツメくんが、どういう心境の変化か積極的に力士になるトレーニングを学校でもし始めるのが面白い。おかげで担任の先生は給食でちゃんこを食べないようにとか校庭の砂場で稽古しないようになどと注意しなければならないハメに。

会話にいちいち相撲用語が混ざってくるのが笑えるし、オチもよくできてて楽しく聴ける噺だ。欲を言えば、力士になる英才教育を嫌がっていたタカノツメくんが心変わりした理由が知りたいので、いつか追加して演じてもらいたいものだ。

オススメ度 ★★★★★


CDあります

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